こんにちわ!
このブログの管理人ペン介です!
ここでは法律事務の専門家である司法書士の私が、独占禁止法について分かりやすく解説しています。
どうぞ、ゆっくりしていって下さい!
フリーランス(個人事業主)を企業から守ってくれる法律に「下請法」があります。
しかし、「下請法」は相手方の資本金が1千万円を超えていないと使えません。
では、資本金1千万円以下の会社から身を守るためにはどうすれば良いのでしょうか?
そのような企業から無茶な要求をされても泣き寝入りをするしかないのでしょうか?
もちろんそんなことはありません。
そのようなケースのために「独占禁止法」があります。
この記事はフリーランスが仕事をするうえで知っておくべき法律「独占禁止法」について解説しています。
フリーランスは「独占禁止法」について知ってた方が良いですよ?
新米フリーランスのヒナ丸です!
一緒にフリーランスの武器「独占禁止法」について学びましょう!
「下請法」については「フリーランスは「下請法」で身を守るべし!」の記事を参考にして下さい。
「独占禁止法」はフリーランスを守ってくれるのか?
「独占禁止法」は「談合」とか企業間に適用されるイメージで、フリーランスを守ってくれるイメージはないなぁ。
大企業の「談合」等が大きくテレビで取り上げられるからでしょうね。
まずは、「独占禁止法」がどのような目的で定められているのか確認しましょう!
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律
第1条
この法律は、私的独占、不当な取引制限及び不公正な取引方法を禁止し、事業支配力の過度の集中を防止して、結合、協定等の方法による生産、販売、価格、技術等の不当な制限その他一切の事業活動の不当な拘束を排除することにより、公正且つ自由な競争を促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇傭及び国民実所得の水準を高め、以て、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする。
長くて読む気が起きない…
どういうことが書いているの?
第1条は「公正で自由な競争を促進し、事業者に自由な意思で事業活動をしてもらうことで国民経済を発達させることが独占禁止法の目的」と言いたいのです。
そして、この目的を達成するためにフリーランスを守ってくれるのです。
「独占禁止法」がフリーランスを守る場面
「公正で自由な競争を促進し、事業者に自由な意思で事業活動をしてもらうこと」かぁ。
どのようなことを規制してこれを実現するんだろ?
平成30年2月15日の「人材と競争政策に関する検討会」報告書で、企業のどのような行為が「独占禁止法」上問題となるのか明らかになっています。
「独占禁止法」上問題となる行為
- 発注者が共同して人材獲得競争を制限する行為
- 取引の相手方の利益を不当に奪い競争を妨げる行為
- 取引の相手方を欺き、自らと取引させることで競争を妨げる行為
- 他の発注者が役務提供者を確保できなくさせる行為
- 競争政策上望ましくない行為
公正取引委員会経済調査室「人材と競争政策に関する検討会報告書 人材に関する独占禁止法適用についての考え方」から引用
発注者=企業(依頼主)
役務提供者=フリーランス
と置き換えてください。
以下に問題となる行為の例を挙げていきます!
1.発注者が共同して人材獲得競争を制限する行為
- 複数の企業がフリーランスに支払う報酬の額を共同で取り決める
- 複数の企業がフリーランスの引き抜きを制限する内容の取り決めをする
2.取引の相手方の利益を不当に奪い競争を妨げる行為(優越的地位の濫用)
- 報酬の支払いを遅延される
- 一方的に報酬を減額される
- 発注をキャンセルされる
- 著しく低い報酬で取引要請される
- 成果物に対する権利制限を受けた
3.取引の相手方を欺き、自らと取引させることで競争を妨げる行為(競争手段の不公正さ)
- 企業が事実と異なる取引条件でフリーランスを騙し、自らと取引させることで、他の企業と取引させない
4.他の発注者が役務提供者を確保できなくさせる行為(自由競争減殺)
- 企業がフリーランスに対し、秘密保持義務、競業避止義務、専属義務等を課すことで他の企業がフリーランスを確保することができなくなり、サービスの供給が困難となる
5.競争政策上望ましくない行為
- 企業によってフリーランスに課された秘密保持義務、競業避止義務、専属義務等の対象が不明確である
- 企業がフリーランスに対し、取引内容を書面ではなく口頭で提示した
- 企業がフリーランスに対し、合理的な理由なく取引条件を他のフリーランスに明かさないよう求めた
- 企業がフリーランス獲得のため、取引条件を曖昧な形で提示しているとき
全部は覚えられないので、「報酬の支払遅延」、「報酬の減額」、「発注のキャンセル」、「著しく低い対価での取引要請」「成果物に対する権利制限」等の企業の無茶な要求は「独占禁止法」上問題になるということを覚えておきましょう。
「この無茶な要求は「独占禁止法」上問題になるのでは?」と思ったら、即調べることが大事!
「下請法」と似ているね!
「独占禁止法」違反への対処法
こんなに規制があるとは…
すごく心強いですね!
次は「独占禁止法」の違反行為があったときの対処法を解説します。
対処法は以下のとおりです。
「独占禁止法」違反行為への対処法
- 自分で相手方と交渉する
- 専門家に任せる
- 公正取引委員会に報告する(最終手段)
自分で伝えるのは怖いな~
相手方との信頼関係によりますが、まずは自分で交渉してみるのが良いと思います。
また、独占禁止法違反の判断は難しいので、行動する前に専門家や然るべきところに相談するようにしてください!
まずは「相談」ということですね!
どこに相談すれば良いのでしょうか?
相談窓口は以下のとおりです。
公正取引委員会 ⇒ 相談・届出・申告等窓口
また、全国の商工会議所・商工会が公正取引委員会と連携して「独占禁止法相談ネットワーク」を築いているので、近くの商工会に相談してみましょう!
「独占禁止法」とフリーランス【まとめ】
独占禁止法違反への対処法まとめ
- 「下請法」又は「独占禁止法」違反ではないか疑う
- 専門家又は相談窓口に相談する
- 違反行為である可能性が高い場合、自分又は専門家から違反である旨相手方に伝えて反応を待つ
- 相手方が改善してくれないようなら公正取引委員会に報告
後日、違反行為があったことを証明できるように、企業担当者とやり取りしたメールや打ち合わせの記録などはきちんと保管しとくようにしましょう!
証拠がなきゃ後々相手に何も言えないもんね!
社会的に立場の弱いフリーランスは、今まで企業からの無茶な要求に対して泣き寝入りをすることが多かったと思います。
しかし、公正取引委員会が「独占禁止法」をフリーランスに関しても使うことができるのではないかという検討をし、「「人材と競争政策に関する検討会」報告書」を出したことにより、今後はフリーランスが「独占禁止法」によって保護されるものと思います。
「独占禁止法」によってフリーランス皆が不当な扱いを受けないようになれば良いですね。
フリーランスには「独占禁止法」以外にも知っておくべき法律があります。
次の記事はフリーランスが知っておくべき法律をまとめたものです。
参考にしてみて下さい。
フリーランスは学ばなきゃいけないことがたくさんあるなぁ。
でも、頑張るぞ~!
フリーランス向けの、簡単に法律や税について学べる本はないです?
「フリーランスが知らないと損するお金と法律のはなし」をおすすめします。
法律や税の初心者にも分かりやすく書いてあります。
この本を読んでおけば大体大丈夫ですよ!
「フリーランスが知らないと損するお金と法律のはなし」のレビューは「【フリーランスが知らないと損するお金と法律のはなし】個人事業主・フリーランスに読んで欲しい本」の記事をご覧下さい。
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