映画やドラマ、アニメなどの映像作品を家で簡単に見ることの出来る昨今
物語に触れる機会も映像によることが多いのではないでしょうか?
しかし、映像化されていないすばらしい作品は幾万もありますし
文章でしか感じられないものがあります。
ということで、読んでほしいすばらしい作品のひとつ
梨木香歩さんの「家守綺譚」をご紹介します。
「家守綺譚」って?
「家守綺譚」は新潮社から出版されている
「西の魔女は死んだ」で有名な梨木香歩さんの作品です。
この作品は第2回本屋大賞で第3位になっています。
ちなみに、この年の本屋大賞第1位は恩田陸さんの「夜のピクニック」。
これも有名で、私も昔読んでいますが凄く面白かったのを覚えいます。
もう一度読んでみようかな~
「家守綺譚」あらすじ
物語の時代はトルコの軍艦エルトゥールル号が和歌山沖で遭難した事件(明治23年)のあった頃。
主人公は大学卒業後、売れない物書きを本業に英語学校の非常勤講師をしている「綿貫征四郎」。
物語は綿貫が大学在学中に早世した親友「高堂」の実家の家守を始めるところから始まります。
この物語には摩訶不思議なことがたくさん起こります。
たとえば、死んだはずの親友が頻繁に掛け軸から出てきたり、木に懸想されたり、河童、小鬼、桜鬼、化け狸などが出てきます。
しかし、登場人物はそういった摩訶不思議な出来事・ものと当然のように共生しています。
そういった摩訶不思議なことが当然にあった頃の日常を描いた作品です。
「家守綺譚」どこが面白い?(少しネタバレあり)
どこが面白いかって?
まぁ読んでみてください。
ページ数は200ページもなく、価格も500円ちょっと
28の短編に分かれているので、ちょっとした空き時間に読めます。
科学の進んだ現代には無い不思議が当然のように在る時代。
登場人物たちが豊かな自然や摩訶不思議と共生している姿が羨ましく感じます。
その日暮しで外聞が悪いだろうに、飄々と生きている主人公を羨ましく思い
最後の「葡萄」の章では主人公の生き方に関する考え方が凄く心に刺さった。
私は与えられる理想より、刻苦して自力で掴む理想を求めているのだ。
新潮文庫 梨木香歩著「家守綺譚」185頁
低俗なものが嫌いで、この世を捨て理想の世界に行った「高堂」
理想の世界に惹かれつつも、苦労してでも自力で理想を掴もうとする「綿貫」
__おまえは人の世を放擲したのだ。
新潮文庫 梨木香歩著 「家守綺譚」160頁
__おまえは人の世の行く末を信じられるのか。
「葡萄」の章を読んでイソップ物語の「すっぱい葡萄」を連想した。
高堂は手の届かないところにある葡萄など無いものだと思い、安易に近くにある葡萄を食べた。
綿貫が欲するのは、手の届かないところにある酸っぱいかもしれない葡萄なのだ。
癖のある語りで、最初は読みにくく感じたが次第にそれを心地よく感じました。
まぁまぁ古い作品ですが、良い作品はいつ読んでも素晴らしく感じます。
引越しの際に大量の文庫本を処分しましたが、この本は処分しませんでした。
恐らく今後も私は持ち続けると思います。
おもしろそうと感じた方は是非読んでみてください!
何度も読み返すほどお気に入りになると思います。
これで紹介終わります!
ありがとうございました!
空き時間に是非!
続編「冬虫夏草」
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